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はじめに

不妊症治療は漢方の得意分野のひとつとも言えます。というよりも、
むしろ漢方でなければ改善できないようなケースが多々あるのが現状です。

以下、長い説明になって恐縮ですが、漢方における不妊治療の基本的概念を示す大変重要な項目です。治療される側が、不妊に対しての見解に誤解のないよう、ぜひともお読み頂きたいと思います。

不妊の長期化

先に述べた通り「不妊症」治療は漢方の歴史においても得意な分野のひとつであるという事が言えます。

なぜなら、総じて不妊の原因においては男性側、女性側共に体質的な血行不全による内分泌系障害が大きな割合を占め、それに伴って併発する様々な障害に現代医学では難しい病名がつけられます。

しかし、現代医学における不妊治療には「血行を良くする」「温める」といった概念や治療法がない為、新陳代謝の悪い、冷えきった体のまま治療が行われ、必要以上に不妊期間を長期化させている場合が少なくありません。

血行を良くし、体全体はもちろん、男女の性殖にまつわる様々な器官(精巣、子宮、卵管、卵巣、脳においては性殖ホルモンに関与する視床下部、下垂体など)の血の巡りを良くし、温度を上げ、活動に勢いを持たせる事は不妊治療の大前提であり、体本来が持っている性欲→射精・排卵→受精→安定卵割→着床といった自然の流れを最大限、スムーズに行わせる事につながります。

現代医学と漢方療法

不妊治療に用いられる漢方薬には、

  • 補血剤・・・血を造り、体を温める生薬
  • 補気剤・・・気力を益し、体にエネルギーや活動力を与える生薬
  • 駆お血剤・・・固まり易く、流れの悪い血液をさらさらにし、めぐりを良くする生薬

などの生薬が複合的に用いられ、それによって血流の増加と安定した気の流れというものを築きます。
しかし現代医学においては血液循環を良くし、人間本来の性殖機能を活発化させる為の薬や手当てといったものを行う事はありません。

男性の不妊と血行不全の関係性

男性の不妊に多い「精索静脈溜」などの精子減少症においても病院では化学物質である「クエン酸クロミフェン」などを用いてその精子数の増加を計ります。
ですが、これは体全体に働くものではなく、ホルモンの調節により、精子の数を増やすことのみにとどまるものです。
ですが、精子はいわば男性の「分身」です。自身の性殖機能を支える、「血行」が悪い状態で精子の数のみを増やしても精子自身の活動には勢いがなく、その運動性や形態にも変化はみられません。簡単に言えば、、精子に元気がないのです。
現実に現代医学では精子の数が増えても受精の増加が見られないという事が大変多いものなのです。
漢方においては薬で精子の数のみを増やす現代医学と異なり、一連の精子を作り出す体の働きを高める為、自身の力で勢いのある形の良い精子をこれまでよりも多く作り出す事が可能になります。

女性の不妊と血行不全の関係性

女性においても男性と同様に排卵機能不全や卵管機能不全、子宮発育不全、子宮内膜症、頸部粘液異常など、不妊の原因になる障害は様々ですが、根本には、元来体質的に血行が悪く、体も性殖機能も冷えきり、柔軟性に乏しく、本来持つべきバイオリズム(自律神経のめりはり、一定した月経・排卵周期、基礎体温の二層性など)がうまく働いていないものです。
現に不妊症に悩む女性に得てして共通する体質として、

  1. 冷え症
  2. 生理不順や月経困難
  3. 生理が少ない、もしくは多い
  4. 経血に血のしこり(レバーのような)が混ざる
  5. おりものが多い
  6. むくみ易い
  7. 肩こり症である

などが挙げられます。
全て血行不全によるもので、一連の症状が自然に作り上げられてしまうのです。
もちろん、それらを強く自覚している方と自分ではよくわからないといった方もいます。

漢方で血行不全・冷えをフォローします

先にも述べた通り、西洋医学には血の巡りを良くする、温めるといった概念がない為、体そのものの停滞した血の巡りや冷えきった精巣・卵巣・子宮はそのままに治療が行われます。

起こりうるケースとして多いのは、排卵誘発剤を使用した時のみの排卵。薬を止めるとまた低排卵、無排卵に戻り、一向に排卵の癖がつかない。よしんば、排卵後やっとの思いで精子との受精に成功しても着床が安定せず、すぐに流れてしまうといった事の繰り返し、など。
正常に受精卵が着床して育つには子宮粘膜の新陳代謝が活発に行われ、いつも以上に子宮に沢山の血液が送り込まれなければなりません。
そして赤ちゃんが約10ヶ月過ごす子宮は暖かくゆったりとしていなければならないのです。

そうした、健康体として起こるべき自然な血流の増加が、不妊体質の方には起こりにくいということが統計的にも述べられています。